時系列データ予測は、ビジネスや経済、気象予報など様々な分野で重要な役割を果たしています。この記事では、最適な時系列予測モデルを選択するために、7つの主要なモデルを詳しく解説します。移動平均法(SMA)や指数平滑法から、より高度なARIMAやSARIMA、さらに状態空間モデルやカルマンフィルター、そしてディープラーニングを活用したRNNやLSTM、GRUなどのモデルについても説明します。それぞれのモデルの特徴や適用例を理解することで、データ分析や予測に役立てることができます。是非、この機会に時系列データ予測の最適解を見つけてください。
- 移動平均法(Simple Moving Average, SMA)
- 指数平滑法(Exponential Smoothing)
- 自己回帰移動平均モデル(ARIMA: Autoregressive Integrated Moving Average)
- 季節性分解時系列モデル(SARIMA: Seasonal Autoregressive Integrated Moving Average)
- 状態空間モデル(State Space Models)やカルマンフィルター(Kalman Filter)
- リカレントニューラルネットワーク(RNN: Recurrent Neural Networks)
- Prophet
- まとめ
移動平均法(Simple Moving Average, SMA)
移動平均法は、時系列データのノイズを平滑化するためのシンプルな手法です。規定された期間(ウィンドウ)内のデータポイントの平均値を計算し、それを予測値とします。ウィンドウがスライドするごとに新たな平均値が計算されます。SMAは簡単で直感的な方法ですが、突然の変化やトレンドを捉えるのが苦手です。
指数平滑法(Exponential Smoothing)
指数平滑法は、時系列データの予測に使用される重み付き平均手法です。最新のデータポイントに高い重みを、古いデータポイントに低い重みを割り当てます。重みは指数的に減少します。シンプル指数平滑法(SES)は、トレンドや季節性がないデータに適しています。ホルト(Holt)の線形指数平滑法やホルト・ウィンターズ(Holt-Winters)の季節性指数平滑法は、トレンドや季節性を考慮したモデルです。
自己回帰移動平均モデル(ARIMA: Autoregressive Integrated Moving Average)
ARIMAは、時系列データの予測に広く使用される統計モデルです。ARIMAは3つの要素(自己回帰(AR)、差分(I)、移動平均(MA))を組み合わせており、パラメータp, d, qがモデルの次数を決定します。ARIMAは線形で定常性を仮定しており、適切なパラメータ選択が重要です。
季節性分解時系列モデル(SARIMA: Seasonal Autoregressive Integrated Moving Average)
SARIMAは、ARIMAの拡張版で、季節性パターンを考慮したモデルです。SARIMAは、季節性自己回帰(SAR)、季節性差分(SI)、季節性移動平均(SMA)の追加パラメータ(P, D, Q, S)が含まれます。SARIMAは、季節性のある時系列データの予測に適しています。
状態空間モデル(State Space Models)やカルマンフィルター(Kalman Filter)
時系列データを状態変数の集合と観測モデルに分解します。状態空間モデルは、隠れた状態変数の進化とデータへのマッピングを記述します。カルマンフィルターは、線形・ガウス状態空間モデルの最適な状態推定を行う再帰的アルゴリズムです。ノイズのあるデータや欠損値の補間、スムージングに適しています。
リカレントニューラルネットワーク(RNN: Recurrent Neural Networks)
RNNは、時系列データや自然言語処理など、シーケンシャルデータの予測や生成に適したニューラルネットワークです。RNNは過去の情報を保持し、時系列データの特徴を捉えることができます。ただし、長期の依存関係を学習するのが難しいため、長短期記憶(LSTM: Long Short-Term Memory)やゲート付き回帰型ユニット(GRU: Gated Recurrent Unit)などの改良モデルが提案されました。これらはゲート機構を持ち、長期的な依存関係を捉える能力が向上しています。ディープラーニングフレームワーク(TensorFlowやKerasなど)を使って実装できます。
Prophet
Prophetは、フェイスブックが開発した時系列データの予測モデルで、成分モデルの一種です。Prophetはトレンド、季節性、特別なイベントをモデル化し、欠損値や外れ値に対しても頑健です。また、自動的にトレンドの変化点を検出し、線形・非線形のトレンドを扱うことができます。Prophetは、PythonとRで利用可能です。
まとめ
これらの手法は、問題の性質やデータの特性によって適したものが異なります。初めに、データの季節性やトレンドを調べ、適切なモデルを選択することが大切です。
一般的には、自己回帰移動平均モデル(ARIMA)や季節性分解時系列モデル(SARIMA)がよく使われますが、近年ではリカレントニューラルネットワーク(RNN)を含むディープラーニングモデルも使用されることが多くなりました。